基本的なメンテナンス

〜絃楽器のセットアップ〜

セットアップとは楽器を購入された時になんらかの理由でちゃんとしたセッティングがなされていない状態の楽器、もしくは普段お使いの楽器になんらかの障害が発生して弾きずらく、音の出にくい状態の楽器を見直しその楽器に合う調整をすることです。

調整の主な内容としては、(楽器のクリーニング、駒の交換調整、魂柱の交換調整、指板の削り直しや交換、ナットの交換調整、ペグの交換調整、エンドピンの調整、弦交換、楽器の接着面が剥がれていないか、Etc,,,)などその他たくさん見ていかなければいけばい箇所があります。もちろん症状は楽器によって様々でその都度作業内容は変わっていきます。

 

〜弓の毛替え〜

弓の場合はやはり毛替えで弓の良し悪しがだいぶ変わってきます。お客様が演奏される時に弓の先があたかも指の先のような感覚で弾けるような毛替えは最高の仕事ではないでしょうか。もちろん弓のレベルにもよりますので一概には言えません。その他チップ交換、銀線巻き、メネジ交換、オネジ交換、革巻き。弓のそり直しに関してはお客様の弓の状態をしっかりとチェックさせていた後の判断とさせていただきます。

絃楽器はデリケートに作られており、トラブルが非常に発生しやすい楽器です。楽器製作の際に使われる接着剤(膠)も固形の状態から水に溶かして使います。そのために普段演奏される際によく触る箇所などは汗などの影響をうけて剥がれてきてしまうものです。

剥がれが生じると絃楽器がもつ本当の力も発揮されず、音の中に異音が生じてきてしまったりとマイナス効果しかありません。

楽器の内部にはこのような異物が付着して音に悪影響を及ぼしている事もあります。

 

演奏家の方々がこの小さな楽器の傷口を早期に治してあげようと思っていただくことが大切です。

 

このようにf孔の周囲もよく割れてしまう箇所です。 少しの圧力で簡単に割れてしまう楽器もあります。

大切な事は早期発見!!ですね。

 

〜ペグの不調〜

 

専用のチョークを使って調整していくのが基本ですが、それでも治らない楽器もあります。ペグボックスに開いている穴がペグの形状と合わないと、物理的にしっかりと固定することは不可能です。いくら演奏家の方がチョークを沢山塗ってみても穴の形が一致していないのでペグは滑り続けるでしょう。

ペグ穴修正の場合、このようにペーパー状にスライスした木材をペグ穴に接着し、穴の修正を行っていきます。

 

 

下の写真のように新しい木材をペグ穴に継ぎ足し穴を開けなをす事もあります。また、ペグボックスのペグ穴部分の割れが原因でペグがしっかりと止まらないという楽器も沢山あります。そうなってしまうとペグを回すたびに割れが拡張していき、、、、。悲しい最後を迎えることになります。

 

この様になってしまうと的確な修理が必要になってきますので是非お持ちください。

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ニスの下に隠れた下地の修正もブラックライトを使ってよくないリタッチがされている箇所を明確に判断して修正をかけていく事も。